そらのまちほいくえん
「大人にとっても子どもにとっても居心地のいい空間づくり」
私の作りたかった「保育園」。
私が手がけた1園目の「ひより保育園」がそうだったように、2園目となる「そらのまちほいくえん」も、大人が勝手に思い描いている「保育園」のイメージに縛られない、大人にとっても子どもにとっても居心地のいい空間を作りたいと思っていました。
当初は鹿児島の設計士さんを探すことも考えましたが、そらのまちほいくえんのコンセプトを発表した時、一番に「いいね」と背中を押してくれたのが安江さん。
「そうか、この人だ」と、直感的に思いました。
以前、安江さんの設計したお宅を見学させていただいた時に感じた心地よさや清潔感、何時間でもそこに居たいと思える空間、無駄を削ぎ落としたからこそ見えてくるそこにあるものの価値、話す時には会話に、食べる時には食事にと無意識に集中できる環境。それら全てが私の作りたい「保育園」そのものでした。
聞く力と表現力。
とはいえ、岐阜と鹿児島という距離のある現場。
「安江さんの作る空間が好き」というだけでお任せして大丈夫だろうかという不安も少なからずありました。
しかし、実際に打ち合わせが始まると、そんなことはただの取り越し苦労だったと気づきます。
安江さんに設計を依頼することを決めたあと、まず最初にしたのが「私の好きな場所巡り」。
カフェやホテル、商業施設など、私が好きな場所に一緒に足を運び、時間を過ごす中で しっかりと共通言語を作り、私自身でもうまく言葉にできない想いやイメージを汲み取ってくれ「つまりこういうことですか?」と、表現してくれる。
途中何度かあった、私の「やっぱりこうしたい」にも根気強く寄り添ってくださり、その度にこの方にお願いしてよかったと心から思いました。
家庭的ではあるけど。
開園前に開いた関係者へのお披露目パーティの時、参加者の皆さんは口々に「こんな保育園見たことない!」「ここに住みたい!」と感激してらっしゃいました。
家庭的ではあるけど生活感が出過ぎない工夫、「子どもたちの親友でありたい」という、そらのまちほいくえんのコンセプトそのままの、職員と園児が対等に日常を楽しめる空間。
何よりも嬉しかったのが、姉妹園である「ひより保育園」とさりげなくインテリアでリンクする部分を作ってくださったこと。
ひより保育園と そらのまちほいくえんは、園舎の雰囲気は全く違ったものであるにも関わらず、ひよりの要素をそらのまちに馴染むようアレンジして取り入れてくださったのはさすがだなと感じましたし、なによりも両園の職員がお互いのつながりを視覚的に感じることができ、より一層親近感を持つきっかけになりました。
細かい部分まで。
振り返ってみると、安江さんとの打ち合わせでは、私が言いたいことを事細かに説明して分かってもらうという作業が全くありませんでした。
例えば照明のスイッチや、ドアの取っ手の形状や質感など。細かい部分までテイストをきちんと揃えてくださり、一つの空間として仕上がった時にどこを見ても違和感を感じることがない。
ビルのリノベーションという、制約の多い現場だったにも関わらず、こんなにもステキな園舎に仕上げていただき感謝しています。
いつか、ここを巣立った園児たちの中から建築家を目指す子が出てくるとステキだなと思います。